TikTokはショート動画を作成・共有するソーシャルメディアアプリで、いまや世界中で若い世代を中心に人気を博しています。
様々なサービスが提供されているTikTokですが、その中のひとつである位置情報サービスはご存知でしょうか?
この位置情報サービスはTikTokユーザーのおおよその現在地を取得するものですが、このTikTokによる位置情報収集について、世界各国で議論が繰り広げられています。
今回のコラムでは、TikTokの位置情報サービスとはどんなものか、またTikTokが位置情報を収集する目的や、世界各国からの評判などについて探っていきます。
ぜひ最後までご覧になってください。
目次
TikTokの位置情報サービスとは
TikTokの位置情報サービスは、18歳以上のユーザーがTikTokのプロフィール画面からON/OFFの設定をすることができます。
TikTok画面下「プロフィール」を開き、画面上にある三本線の「メニュー」をタップします。
「設定とプライバシー」から「プライバシー」に進むと「位置情報サービス」があるのでタップします。
そしてアクセスを許可もしくは不可とすることで位置情報サービスの設定が完了します。
サービスをONにした場合、あなたが今いる場所から3平方kmほどの位置情報を取得します。
ここで注意したいのは、一般的に設定をOFFにするとそのサービスが受けられなくなるという認識かと思いますが、TikTokの位置情報サービスは設定をOFFにしてもユーザーのおおよその位置情報を推測できてしまうということです。
サービスをOFFにした場合は、あなたが使っているデバイスやネットワーク情報を基に、国や地域、市まで推測できてしまいます。
ユーザーがいる場所をおおまかに取得するこのサービスについては世界各国で議論されており、政治家やユーザー、企業など立場によって思いも異なっています。
そもそもTikTokはどんな目的で位置情報を取得しているのでしょうか。
TikTokはなぜ位置情報を取得するの?
1.TikTokをより便利に
TikTokが位置情報を収集する主な理由の一つは、ユーザーひとりひとりに合わせたコンテンツを提供し、TikTokをより一層便利に使ってもらうためとしています。
ユーザーの位置情報を基に、その地域に関連するトレンドや人気のコンテンツを表示することで、ユーザーからの信頼性を高めることができます。例えば、日本のユーザーには、東京や大阪などの都市で流行している動画が優先的に表示されます。
2.広告のターゲットを絞る
位置情報は広告のターゲティングにも利用されます。広告主は、特定の地域に住むユーザーに向けて、より関連性の高い広告を配信することができます。
これにより、広告の効果を最大化し、広告収入を増やすことができるのです。例えば、ニューヨークにいるユーザーには、現地のレストランやイベントの広告が表示されることが多くなります。
3.セキュリティ対策
位置情報はセキュリティ対策にも役立ちます。不正行為やスパムの検出において、ユーザーの位置情報を利用することで、不正なアカウントや行動を迅速に特定し、対処することが可能です。
これにより、TikTokのプラットフォーム全体の安全性を高めることができます。
世界の反応は…?
TikTokの位置情報収集の目的やそのメリットを聞くと、ユーザーにとってありがたいサービスのように思えます。しかし、この位置情報収集に対する世界の反応は様々です。
アメリカでは、TikTokが中国のバイトダンス社に所有されていることから、国家安全保障の観点で以前から懸念が高まっていました。
そして、TikTokが収集するデータが中国政府に流出するなどプライバシー侵害のリスクに配慮して、2024年4月、TikTok利用禁止法案が成立しました。これは1年以内にTikTokのアメリカ事業を売却しなければアメリカ国内でのアプリ利用を禁止するもので、TikTok側は強く反発しています。
ヨーロッパでも、プライバシーとデータ保護の観点から懸念が広がっています。特に、EUの一般データ保護規則(GDPR)に基づき、TikTokがユーザーデータをどのように収集し、使用しているのかについて厳しい目が向けられています。
フランスやドイツなどの国では、TikTokに対する調査が行われており、違反が見つかった場合には厳しい罰則が課される可能性があります。
一方でアジア諸国では、TikTokの位置情報収集に対する反応は比較的穏やかです。
中国やインドネシアなどでは、TikTokが提供するエンターテイメントや情報の利便性を重視する声が多く聞かれます。
しかし、インドでは一時的にTikTokが禁止されるなど、政府の方針によっては使用が制限されるケースもあります。
ここ日本では今のところ批判の声は大きくは聞こえていません。しかしアメリカの流れを受けて今後どうなっていくのか注目しつつ、ユーザーひとりひとりがSNSの使い方や安全性について考えていきたいところです。
ユーザーはどう思っている?
ユーザーの視点から見ると、TikTokの位置情報収集には賛否両論があります。
一部のユーザーは、位置情報を利用したユーザーひとりひとりに合わせたコンテンツや広告が便利と感じています。例えば、地元のイベント情報やおすすめの観光スポットをすばやく知ることができる点は、ユーザー体験を向上させる要素として評価されています。
一方で、プライバシーの侵害を懸念するユーザーも少なくありません。特に、位置情報が第三者に渡る可能性や、意図しない用途に利用されるリスクについて不安を抱くユーザーが徐々に増えています。
このため、一部のユーザーは位置情報の共有を拒否するか、アプリの利用自体を控える傾向にあります。
TikTokの位置情報サービスが与える社会的な影響とは
TikTokの位置情報収集は、社会的な影響も無視できません。
位置情報を利用することで、ユーザーがどこにいるかを特定できるため、ストーキングやプライバシー侵害のリスクが高まる可能性があります。
このため、TikTokはユーザーの安全を確保するために、位置情報の利用について厳格なガイドラインを設けています。
また、位置情報が収集されることで、ユーザーの行動パターンが分析され、商業的な目的で利用されることもあります。
これにより、ユーザーの生活習慣や消費行動が把握され、個人のプライバシーが侵害される懸念があります。
TikTokはこれらの懸念に対応するため、プライバシーポリシーの透明性を高め、ユーザーが自身のデータを管理できる機能を提供しています。
TikTokが取り組むプライバシー保護
TikTokは、プライバシー保護のためにいくつかの取り組みを行っています。
例えば、ユーザーが自身の位置情報を管理できるように設定を設けており、細かい位置情報の収集を拒否することも可能です。
また、データの匿名化や暗号化などの技術を活用し、ユーザーのプライバシーを保護するための措置を講じています。
しかし、これらの取り組みが十分かどうかについては議論の余地があります。位置情報をOFFにしてもおおよその位置を推測されるのは始めにお伝えした通りです。
プライバシー保護団体や専門家の中には、TikTokにさらなる透明性と厳格な規制を求めている人もいます。
まとめ
TikTokの位置情報収集は、個々に合わせたコンテンツの提供や広告ターゲティングにおいて重要な役割を果たしていますが、プライバシーの懸念を引き起こしています。
TikTokはプライバシー保護とユーザー体験の向上を両立させるために、データ収集の透明性を高め、ユーザーが自身のデータを管理できる環境を整備する必要があります。
企業がユーザーのプライバシーを尊重しつつ、革新的なサービスを提供することが求められる中で、TikTokの取り組みは他のプラットフォームにとっても参考となるでしょう。
またユーザーも、企業の取り組みを待つばかりでなく、SNSの扱いについて考えていくことも大切でしょう。個人での対応が難しい場合は、TikTok運用代行などに相談するのもひとつの方法かもしれません。
急速に進化を続けるSNSに振り回されることのない様、使い方や安全性について考えながら使いこなしていきたいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!