TikTokは、ショート動画を共有するプラットフォームとして10代〜20代の若い世代を中心に、世界中で爆発的な人気を誇っています。
一方、生成AI（生成的人工知能）は、コンテンツ生成や編集、ユーザー体験の向上において革新的な役割を果たしています。
TikTokにおける生成AIの活用には、多くのメリットがある一方で、いくつか心配される点もあります。
今回のコラムでは、TikTokにおける生成AIのメリットと懸念材料を詳しく探り、その影響について考えていきます。
TikTokに生成AIを活用することを検討されている皆さん、生成AIを活用するとどうなるのか気になっている皆さん、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
生成AIでできるのはどんなこと？
まず初めに生成AIについて確認しましょう。
生成AIはAI（人工知能）の一種です。 AIは人間のコトバの理解や知識、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術を指します。
生成AIは、その AIが考えた文章や画像などの知識を人間が受取る仕組みのことです。
AIの一種である「機械学習」、そしてその一種である「ディープラーニング」、更にその中の一種が「生成AI」です。
この生成AIでは、テキスト・画像・動画・音声などを生成することができます。
生成AIに文章で指示（プロンプト）をフォームに入力し送信すると、その指示に従った文章などを生成してくれるという技術です。
私たち人間が持つ「文章や画像を考え創造する」という脳の活動を、コンピュータに委ねてしまうとも言えるこの技術。あらゆるシーンで使われてきている生成AIが TikTokでも活用される様になってきました。
TikTokに生成AIを活用することで考えられるメリットや心配されることなどについて、これから詳しく述べていきます。
TikTokに生成AIを活用するメリットは？
TikTokに生成AIを活用することで考えられるメリットは以下のことがあげられます。
1.コンテンツの多様化と品質の向上
生成AIはTikTokユーザーが簡単に高品質なコンテンツを作成できるよう手助けしてくれます。
例えば、音楽や映像の自動生成、編集機能の提供などにより、ユーザーはクリエイティブなアイデアを簡単に効率良く表現できるようになります。
これにより、TikTok上には魅力的なコンテンツが数多く投稿され、視聴者に新鮮な楽しみを提供することができます。
2.個々に合わせたコンテンツの提供
生成AIは視聴者の視聴履歴や行動パターンを分析し、それぞれに合うコンテンツを提供する能力に優れています。これにより、視聴者は自分の興味に合った動画をより簡単に見つけることができるようになります。
例えば、生成AIが好みの音楽やテーマに基づいてカスタマイズされた動画をおすすめすることで、視聴者のエンゲージメントがアップします。
3.専門的な知識やスキルが不要
生成AIは、複雑な動画編集作業を自動化し、ユーザーの負担を軽くします。これにより、専門的な知識やスキルのない初心者でも、プロフェッショナルのような品質の動画を作成することができるのです。
TikTok上でのコンテンツ制作の敷居をグッと下げてくれる技術です。
例えば、AIが自動でトランジションやエフェクトを追加することで時間と労力を大幅に削減しながら、自分では思いつかなかったアイデアが詰まった動画を生み出すことができます。
TikTokの生成AI活用で心配されること
高品質な作成能力のある生成AIに創造することを委ねることで得られるのは、メリットばかりではありません。
ここでは、TikTokの生成AI活用により心配されることをあげてみましょう。
1.創造力の低下と依存
生成AIの導入により、コンテンツ制作が簡単になる一方で、私たち人間の創造力が失われていく危険性があります。AIの自動生成に依存しすぎると、個性が薄れて似たようなコンテンツが増えるリスクがあります。
TikTokはユーザーの創造力を引き出し発揮する場でもあるので、創造と技術の活用とのバランスを意識し保つことが大切です。技術に飲み込まれることのない様、うまく活用したいところです。
2.フェイクコンテンツと誤情報の拡散
生成AIの高い能力はフェイクコンテンツや誤情報の生成にも悪用される危険性があります。
これにより、TikTok上で誤情報が拡散されやすくなり、視聴者に誤解や混乱を与えるリスクがあります。
特に、AIが生成するディープフェイク画像は真贋を見分けることが難しく、社会的な混乱にすら繋がる危険性があります。
3.著作権とプライバシーの問題
生成AIを活用したコンテンツ制作は、著作権侵害のリスクをも伴います。 AIが今ある作品を参考にして新しいコンテンツを生成する場合、その過程で著作権を侵害する可能性もあると言われています。
更に、TikTok上で AIがユーザーのデータを収集・解析することにより、プライバシーの侵害の懸念も生じます。
技術が先に歩き、法整備や規制が後手に回ることは珍しくありませんが、これらの問題に対処するには、適切な法的枠組みとガイドラインが必要でしょう。
TikTokに生成AIを投稿する条件
先ほども述べた様に、生成AIを活用した画像は本物と見分けが付けにくいほど精巧に作り上げられ、その使い方によっては様々な問題が生じかねません。
TikTokでの誤情報の拡散を防ぐために、TikTokでは「生成AIコンテンツ管理ガイドライン」を設けています。
その内容は「主な被写体が、実際には行わなかったことを行ったと表現されている」
「主な被写体が、実際には言わなかったことを言ったように表現されている」
「主な被写体の見た目が大幅に変更されており、元の被写体であることが認識できなくなっている」といった画像や動画には「ラベル付与」を求めるというものです。
生成AIによる画像かそうでないかを明確化するための策です。
そしてそのラベルには2種類あり、ひとつはTikTokが AI生成コンテンツであると検知した場合に付与するラベル、ふたつめはクリエイターが投稿時に自ら付けるラベルです。
TikTokのガイドラインに反するコンテンツは削除される場合もあります。生成AIを活用したコンテンツを投稿する前には、TikTokが義務付けているルールに則っているか必ず確認をしましょう！
まとめ
今回のコラムでは、生成AIについて、また TikTokと生成AIとの組み合わせがもたらすメリットや懸念される点などについて詳しく解説しました。
TikTokと生成AIとの組み合わせはクリエイティブなコンテンツ制作の新しい時代を切り開いていると言えるでしょう。AIの技術を借りてユーザーはより魅力的なコンテンツを作成、共有することができるなど、多くのメリットをもたらしてくれます。
しかし、私たち人間の創造力の低下やフェイクコンテンツの拡散、著作権侵害といった懸念もまた存在しています。
これらの課題に対処しながら、今後、TikTokが生成AIと共にどのように進化し、私たちの暮らしにどのような影響を与えていくのか注目していきたいところです。
今後ますます発展するであろう技術の進化に飲み込まれることなく、その都度湧き上がってくる問題への解決策を模索しながら、うまく技術を使いこなす柔軟性を持ち対応していきましょう！
最後までご覧くださりありがとうございました。
