
近年、採用市場で大きな注目を集めているのがZ世代です。
Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指し、デジタルネイティブとして育った彼らは、従来の就職活動や採用活動のスタイルでは響かない独自の価値観を持っています。
今後の日本社会で中心的な役割を担う世代であるZ世代を採用できるかどうかは、企業の将来を左右すると言っても過言ではありません。
今回のコラムでは、Z世代の特徴や価値観を整理しながら、彼らが求める採用の在り方について詳しく解説していきます。
Z世代について、そしてZ世代の採用事情について理解したいという皆さん、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも、Z世代とは?

まずは「Z世代」について解説しましょう。
1.Z世代の定義
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指します。ミレニアル世代の次に位置する彼らは、幼少期からインターネットやSNSに触れて育った「真のデジタルネイティブ」です。
スマートフォンが当たり前の環境で成長しており、情報収集や人とのつながりはSNSを通じて行うのが自然なスタイルとなっています。
2.Z世代の価値観の特徴
Z世代は、これまでの世代と比べても特徴的な価値観を持っています。
まずひとつ目に多様性の尊重です。性別や国籍、働き方の多様性を受け入れる姿勢が強いと言われています。「多様性」という言葉自体、世代によっては最近の言葉の様にも感じられるかもしれません。
幼少期からインターネットで様々な文化に触れる環境にあったZ世代にとっては、多様性を受け入れることは自然の流れであったと考えられます。
そして自己表現を重視するという面も持ち合わせています。SNSでの発信を通じて、自分らしさを大切にすることが身についているのでしょう。
また、ワークライフバランス志向も高いと言われています。仕事だけでなく、プライベートの充実も重視するという価値観です。
他にも安定よりも挑戦を重視する傾向もあるとされます。大企業志向一辺倒ではなく、自分の成長が期待できるかを判断基準とし選択していく力強さも感じられます。
このように、Z世代は価値観が多様であり、企業が採用活動を行う際には一人ひとりの個性を尊重する姿勢が欠かせません。
Z世代が採用で重視するポイント

特徴的な価値観を持つZ世代は、採用においてどのような点を重視するのでしょうか。
1.給与や福利厚生だけでは足りない
もちろん給与や福利厚生は基本条件として重視されますが、Z世代にとってはそれだけでは十分ではありません。採用の場で「どれだけ自分が活躍できるか」「どんな社会的意義があるか」を重視する傾向が強まっています。
2.意義のある仕事・社会的責任
Z世代は社会課題への関心が高く、採用時に「この会社は社会にどんな貢献をしているのか」という視点を持ちます。SDGsやサステナビリティへの取り組みを積極的に発信している企業は、Z世代から好印象を持たれやすいでしょう。
単なる利益追求型企業よりも、社会的課題の解決に取り組む姿勢があるかどうかが採用の決め手となることもあります。
3.働き方の柔軟性
リモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方ができるかどうかもZ世代の採用では重要です。時間や場所に縛られない働き方は、彼らのライフスタイルにフィットします。
特に「副業ができるか」「キャリアの幅を広げられるか」といった自由度は採用に直結する要素となっています。
4.成長とキャリア形成
「入社後にどんなスキルが身につき、どんなキャリアを歩めるのか」も採用活動の大きなポイントです。研修制度やキャリア支援プログラムを整備している企業は、Z世代に選ばれやすくなります。
また、キャリアの見通しを採用の段階で示すことが、安心感につながります。
5.リアルな情報の発信を求める
Z世代は企業が一方的に発信する広告よりも、社員のリアルな声やSNSでの情報を信頼する傾向があります。「実際にどんな働き方をしているのか」「どんな雰囲気の会社なのか」を知りたがるため、採用活動ではリアルな情報をいかに届けられるかが重要です。
Z世代に響く採用手法は?

Z世代の採用を成功させるには、従来の求人広告や合同説明会だけでは不十分です。彼らの情報収集の中心はSNSや動画であり、そこで企業がどのように採用情報を発信しているかが鍵となります。
1.SNS採用
TikTokやInstagramは、Z世代にとって日常的に利用するプラットフォームです。採用広報として社員の一日を紹介したショート動画や、社内イベントを切り取ったコンテンツを投稿することで、企業の雰囲気を自然に伝えられます。
2.オンライン説明会の強化
場所を選ばず参加できるオンライン説明会は、コロナ禍を経て定着しました。Z世代は気軽さを求める傾向があるため、短時間でわかりやすい形式にすることがポイントです。
3.双方向コミュニケーション
一方的な説明会よりも、チャットで質問できたりSNSのDMで相談できたりする採用活動は、Z世代に非常に好まれます。リアルタイムで気軽に疑問を解消できる環境は、応募への心理的ハードルを下げます。
4.動画コンテンツの充実
文章よりも動画での情報を好むZ世代に対しては、社員インタビューやオフィスツアー動画などが有効です。特にTikTokなどのショート動画は、採用活動において大きな可能性を秘めています。
Z世代採用での課題とミスマッチ防止策

Z世代の採用で課題となるのは「ミスマッチ」です。企業が理想的なイメージを発信しすぎると、入社後に「思っていた会社と違う」と感じるケースが少なくありません。このギャップが早期離職につながる大きな要因です。
1.ミスマッチ防止のための工夫
ミスマッチを防ぐには、採用広報で過度に良い部分だけを見せるのではなく、現実的な課題も含めて誠実に伝えることが重要です。例えば、「仕事のやりがい」と同時に「繁忙期には残業が増える」といったリアルな情報を開示することで、入社前に正しい期待値を持ってもらえます。
2.成功事例と失敗事例
ある企業では、採用サイトに「社員の失敗談」まで載せることで、Z世代から高評価を得ました。逆に、採用時に「残業ゼロ」とアピールしたのに実際は残業が多かった企業では、入社1年未満で離職が相次いだという例もあります。
採用は「飾る」ことより「誠実であること」が求められます。
3.体験型採用での理解促進
インターンシップや職場体験は、Z世代が企業を理解するうえで非常に効果的です。内定者フォローの段階でOB・OG訪問や社員座談会を設けることも、ミスマッチ防止に役立ちます。
採用は単なる入口ではなく、入社後の定着を見据えたプロセスであるべきなのです。
まとめ
今回のコラムでは、Z世代の採用に向けて、Z世代の特徴や価値観などについて解説しました。
Z世代の採用を成功させるには、給与や待遇だけに頼るのではなく、社会的意義・働きやすさ・成長機会をバランスよく提示することが欠かせません。また、SNSや動画を活用した採用手法は、Z世代との接点を作るうえで非常に有効です。
さらに、採用活動の目的は単に入社してもらうことではなく、その後の定着や活躍へとつながることです。ミスマッチを防ぐためには、リアルな情報発信と体験型の採用を取り入れることが求められます。
これからの採用市場でZ世代が主役となる時代、企業は彼らの価値観を理解し、柔軟に採用手法をアップデートしていくことが不可欠です。
最後までご覧くださりありがとうございました。